介護士は離職率が高い職業と言われています。悩みを抱え込んでしまい、解決できないままに体調を崩してしまうといったケースも見られます。介護士の離職理由として多く掲げるのが、人間関係です。看護師と介護士の壁や先輩介護士との差、サービス提供責任者との軋轢に利用者との関係など、さまざまな理由が挙げられます。介護士自身が仕事の悩みとして抱え込みやすいのが、利用者との関係ではないでしょうか。
また、妊娠や家族の介護といった、ライフステージの変化による離職も多い傾向にあります。実際、妊娠中の介護士が働くことは現場で働くことは難しく、その後は異業種転職をしている人も見られます。男性介護士の場合は、家族のライフステージの変化と収入が見合わず離職を決めるケースも見受けられました。収入面の低さも離職の理由となります。介護職員処遇改善支援補助金による賃金アップ制度が始まったといっても、補助金の対象となるのは事業所のみです。また、補助金によって得られる月9000円の賃金アップだけでは、生活が成り立たないという声もあります。物価高などのあおりを受けて、さらなる収入増を目指し転職を決意することもあるようです。
介護事業所も介護士の地位向上や収入増を目指すほか、人員配置を増強して働きやすさを高める工夫を行っています。しかし、事業所としての収入と賃金の支払いが伴わないという理由に代表される、受け入れ体制の整備といった課題解決が大前提です。